秘密
「奏ちゃん、お酌はいいから、沢山食べなさい?お父さんも静も!奏ちゃんは怪我してるし、お客様なのよ!奏ちゃん、お母さんの所にいらっしゃい♪」
もうみんなして奏の取り合いだな…
「あ、はい」
奏は今度は母さんの隣に座る。
「ふふふ。奏ちゃん、ホントに可愛いわ♪あ。お母さんね、奏ちゃんにパジャマとお洋服買ってるの、今持ってくるね?」
「え?あの…」
何か言いかける奏をスルーして、母さんはリビングから出ていくと、奏は困ったような表情で俺を見る。
「好きにさせてやって、母さん、奏の事が可愛くて仕方ないんだよ」
俺がそう言うと奏は、
「静さんにも水着買ってもらったのに…私…戴いてばっかりで…」
「奏ちゃん♪そんなの気にしない、今年の夏はあの水着着てお兄ちゃんと海水浴に行こうね?」
何ふざけた事言ってやがる。
「…相手にしなくていいぞ、奏」
「ほら、見て見て〜?可愛いでしょこのパジャマ♪」
母さんがリビングに戻って来るなり、ピンクのフリルが大量に付いたワンピース?(しかも超ミニ)を広げて見せた。
飲みかけの烏龍茶を吹き出す俺。
「母さん!グッジョブ!」
立ち上がり、親指を立てるバカ静。
何アレ?ほぼ下着じゃん?
なんつんだっけ?ベビードール?
そう、それだ。
「……母さん、それ…下着じゃないの?」
「何言ってんの?どう見てもパジャマでしょ?ほら♪このパンツとセットなの♪」
ピンクのこれもまた大量にフリルが付いた、カボチャみたいなショートパンツ。
「母さん!最高!ブラボー!」
………バカ親子だ。
ピンクフリルが似合うのは、林屋パ○子位だろ?
…いや、奏なら似合う、似合うがしかし…
「……却下。そんなの奏に着せたらダメだから」
「えぇ〜?せっかく買ってきたのに〜!」
「ダメったらダメ」
そんなほぼ下着のパジャマなんか奏に着せれるか。
兄貴が奏に何しでかすか。
「あんたに聞いてないわよ、ね?奏ちゃん、どう?可愛いでしょ?お母さん、奏ちゃんにコレ似合うと思うな♪着てくれる?」
見ると奏は張り付いた笑顔で固まっていた。