秘密
ホイッスルが鳴り、佐野君率いる二年チームとリョータ君達三年のスタメンチームの試合が終了した。
スコアを見てみると、89対115。
勝ったのは佐野君チーム。
得点の半分以上は佐野君が叩き出したもの。
百点ゲームってホントにあるんだ…凄い…
「だあぁぁっ!ヤッパ先輩には勝てないっ!」
リョータ君が頭を抱えてしゃがみ込む。
「いや、そうでもないぞ?マンツーマンはお前から抜かれたし」
「たった一回だけじゃないすかぁ…」
「ムカついたから、つい本気出した、はは。わり」
「はい、整列、礼に始まり礼に終わる。練習でも同じだぞ」
高田先生の一言でみんなコート中央に集まった。
「ありがとうございましたっ!」
みんなでお互い深く一礼し、佐野君が顔を上げると、
「俺が練習見てやんのも今日で最後だからな、後は先生とリョータの言う通りにやれば必ず全国行けるから、みんな頑張れよ」
「え?今日で終わりですか?」
佐野君の隣に立つ二年生の男の子がそう言うと、佐野君はその子の頭に手を乗せて、
「俺も色々忙しいの、来年は受験生だしな、勉強もあるし」
「残念です…」
しゅんと肩を落とす男の子。
「俺らじゃ頼りないって言いたいの?」
タケル君がそう言うと、その子は慌てて両手を振った。
「ちっ、違います!佐野先輩の指導で俺、ベンチ入り出来たし、もっと教えて欲しかったなって…」
「俺が明日からマンツーマンで指導してやる!」
リョータ君が指をポキポキと鳴らした。
「えぇっ!?勘弁して下さいよ!」
「いいや!明日からお前一人坂道ダッシュ10本追加だ!」
「そんなあぁ〜…」
「問答無用!」
頭を抱え込むその子に笑い出すみんな。
「よぉ〜し!今日は練習終わりだ、昼から海でバーベキューやるぞ!」
「ホントですか!?」
「先生太っ腹!」
「肉っっ!!」
一斉に声を出して歓声を上げるみんなを一瞥すると、高田先生は佐野君の方を向いて、
「茜、お前らも来いよ?強制だ、その前に話があるから教科室に来てくれ」
「?…はい」
佐野君がそう言うと先生は、先に行ってるから、と体育館から出ていった。