秘密
「リョータ!リバン!死ぬ気で取れ!よし!速攻!戻れ!」
佐野君はいつの間にか、練習している部員達に激しく声を上げていた。
「おら!二年!遠慮すんな!ガンガン攻めろ!ユウト!もっと腰落として張り付け!コースケ!周りをよく見ろ!」
学校とは全然別人。
違う人みたいな佐野君。
「二年!フリーになったら迷わず打てっ!」
ホントにバスケットが大好きなんだね。
身体中で伝わってくる。
そんな佐野君を見てるのが、とても嬉しかった。
佐野君の辛い過去も知ってしまったけど、それすらも知る事が出来て、もっと佐野君を近くに感じる。
−ピピィー!
試合終了の笛の音。
勝ったのはリョータ君達三年生。
みんな汗だくで息を切らし、コートの中央に寄ると、
「ありがとうございました!」
と佐野君の方に一礼した。
「おう。お疲れ」
佐野君は軽く手を上げた。
リョータ君が佐野君の方に駆けてくる。
「佐野先輩!今日は指導してくれて、ありがとうございます!」
「は?指導なんかしてねぇよ、怒鳴っただけだ、はは」
「地区予選前なんで、みんな気合いが入りました!」
「地区予選位楽勝で勝てよ?目指すは全国だろ?」
「はい!」
「…頑張れよ、じゃ、俺達そろそろ行くから」
「あのっ、また是非来てください!」
「はは。気が向いたらな」
「絶対来てくださいよ…」
「…わかったよ、じゃ、先生俺達帰ります!」
佐野君は少し離れた先生に声をかける。
「あっ。茜!待てっ!今の連絡先教えろ、お前携帯変わっただろ?」
「あっ!俺も!」
佐野君は先生とリョータ君に赤外線で通信。
「じゃ、今度こそ、帰ります」
「また来いよ?」
「はい」
私の方に歩いてきた佐野君に、皮ジャンを佐野君に差し出す。
「お疲れ様」
「はは。お待たせ、てか待たせ過ぎ?」
靴を履き、部員の皆に手を振って体育館を出る。
「ううん。そんな事ないよ、楽しかった、佐野君、学校とは別人みたいだった」
「そうか?奏も今日は別人みたいだぞ?」
「え?そうかな?」
「うん。あ、次に俺んち寄っていい?」
佐野君の、家?
「うん。いいよ!」