秘密
途端に病室は静まり返り、俺と奏は二人きりに。
隅に立て掛けられた折り畳み椅子を持ってきて、ベッドの横に座る。
シーツの中に手を忍ばせて、奏の手を握る。
佑樹と話をつけるつもりだったのに、どうやら佑樹は帰ってしまった後のようで、少しだけ拍子抜けしてしまった。
昨夜は奏の事が心配で眠れなかったけど、こうやって奏の手を握っていると安心する。
………奏。
これから何があったとしても、絶対に俺が守ってみせるから。
出来ればこの先も二人で一緒に歩いていきたい。
何を犠牲にしても、奏が居ない未来なんて想像出来ない。
俺。
めちゃくちゃ頑張るから。
よければ俺に着いてきてほしい。
大人になっても、オヤジになっても、ジーサンになっても。
この気持ちは絶対に変わらない。
奏の事が大好きなんだ。俺。
握った掌に無意識に力が入ってしまい、俺は少しだけ力を緩めた。
すると奏の掌が少しだけ動いたのを微かに感じて。
「……奏?」
「…………ん…」
奏の瞼がピクリと動いて、ゆっくりとそれが開いて。
「奏?……、起きた?」
「……ぅ…、ん……」
まだぼんやりとしか思考が働かないらしく、奏は目を開けるとぼんやりと天井を見つめていた。
「奏……、よかった」
片手は握ったまま、もう片方の手で奏の頬に手を伸ばしそれに触れる。
奏はまだ虚ろな瞳で俺の方に視線を向けて。
「………佑…、樹?」
まだ視界がハッキリとしないのか、俺と佑樹を間違えたみたいだ。
「違うよ、俺だよ、奏…」
「違…う?……」
奏はじっと俺を見つめてきて、徐々にその瞳は俺の姿を捉えたようで。
「………誰、ですか?」
………奏?