秘密
佐野君は学校でもかなり目立つ存在だった。
制服は着崩して。
長身で金髪にピアス。
いつも気だるそうな、眠そうな表情をしていて、隣にはよく違う女の子が側に居て。
見た目派手で、とにかく私が最も苦手とするタイプの人だった筈なのに。
「ごめんなさい、何も思い出せなくて……」
「そ…、か」
佐野君は一瞬だけ悲しげな表情を見せて、引き戸を閉め、私のベッドまでやって来て。
「お?トランプやってたの?」
「うん。おにーちゃんも一緒にやろうよ」
「手加減しないよ?」
「まりあ、強いもん!」
「ははは。で?何やるの?」
「ババ抜きっ!」
「おしっ、ババ抜きな」
まりあちゃんの頭を撫でながら優しく笑う佐野君は、以前私が思っていた佐野君とはまるで別人みたい。
佐野君ってこんなに優しい人だったんだ。
意識が戻って直ぐ、私は頭が混乱してしまっていて、佐野君に酷い事を言ってしまったみたいで、佐野君はただ心配してくれてただけだったのに、ホントに申し訳ない事をしてしまった。
佐野君に対する見方が今は少し変わってしまって、見た目よりも優しくて、よく笑う人だって事に気付かされた。
事故現場に偶然居合わたらしい佐野君は、事故の責任を感じてか、毎日こうやってお見舞いに来てくれる。
まりあちゃんも喜ぶし、私も嬉しいんだけど、毎日来てもらうのはさすがに気の毒で。
「佐野君…、あのね?」
佐野君はトランプを切りながら。
「ん?何?」
「お見舞い来てくれるのは嬉しいんだけど、毎日来なくてもいいよ?」
「………迷惑?」
「そんな意味で言ったんじゃないよ、佐野君も忙しいだろうし、毎日大変じゃないかなぁって…」
「大変なんかじゃないよ…、俺が来たくて来てるだけだから……」