秘密










チリン、チリン、チリン……



……あ…



あの鈴の音だ。



チリン、チリン……



何処から聞こえてくるんだろう?



辺りを見渡して見るけど、そこは真っ白い空間。



上も下も全てが真っ白。



ここは一体何処なんだろう?



チリン……



徐々に遠ざかる鈴の音色に、私はこの空間に一人ぼっちだと言う事に気付き、急に不安になって鈴の音色が聞こえてくる方向に駆け出していた。



何で誰も居ないの?



チリン、チリン。



ただ頼りになるのはその鈴の音だけで、私は置いていかれないように鈴の音を必死に追いかけた。



「まって!置いていかないで!」



声を出すと途端に回りの景色が見慣れたものに変わる。



あれ?
ここは………



うちの近所の公園……?



ここが自分の知っている所だと少しだけ安心した私は、ホッと胸を撫で下ろす。



チリン。



不意に鈴の音が私の直ぐ側で聞こえて、足元に目をやると、一匹の黒い仔猫。



「ニャー…」


「猫ちゃん?」



私はしゃがみ込みその仔猫を抱き抱えた。



チリン。



「その鈴は猫ちゃんのだったんだね」


「ニャー」



仔猫の首には白くて可愛い鈴が着いていて、私は仔猫を抱いたまま立ち上がり。



「ふふふ。さ。帰ろうか?シロ」


「ニャー」



そうだ………、
この子はシロだ。



シロ。



おうちに帰ろうね。



私の大好きな人が待ってるおうちに……





< 520 / 647 >

この作品をシェア

pagetop