秘密
お父さんとお互いの携帯で色々と使い方を試しながら過ごしていると、成美さんがお見舞いに来てくれた。
成美さんも佐野君と同様、毎日のようにお見舞いに来てくれている。
これが必要だな。なんて思ったりしただけで、次の日にはそれを持ってきてくれたりと、驚く程気が利いて、とてもしっかりしていて優しくて、お父さんには勿体ない位の素敵な女性。
お父さんってお人好しで、仕事以外は何処か頼りない人だから、成美さんみたいなしっかりした人が側に居てくれると私も安心。
こうやって三人で楽しく会話していると、ホントの家族みたい。
「あ…、そうだ」
岡崎先生に貰ったストラップを思い出し、早速携帯に着けてみた。
ピンクの携帯に白い小さな鈴はとても似合って可愛かった。
「あら?可愛いストラップね?」
「岡崎先生に貰ったんです」
「岡崎先生?…ああ、あの研修医の」
「はい」
「そっか、あのね?わたしも奏ちゃんにストラップ買ってきたの、健吾さんから今日奏ちゃんの携帯買いに行くって聞いたから」
言いながらバッグの中を開いて小さな袋を取り出すと、成美さんは私に渡してくれた。
「わあ。ありがとうございます、開けてもいいですか?」
「勿論。気に入るといいんだけど」
袋を開けて中身を出すと、それはクロスのチャームが付いたシルバーのチェーンのストラップ。
あれ?
何処かで見たような……
「奏ちゃんこれと似たようなブレス着けてたから、もしかしたら好きかなって」
「ブレスレット?」
私、こんなブレスレット持ってたのかな?
「あら?覚えてない?」
「……はい」
私、アクセサリーなんか普段着けないんだけどな……
「明日持ってきてあげようか?もしかしたら何か思い出すかも知れないし」
……ブレスレット。
白い鈴の音色に感じた同じような感覚が、また胸の奥に広がった。