秘密
「お二人は、同級生なんですね」
「そう、俺ら同級生、この病院のイケメン研修医。No.1とNo.2。あ。勿論ナンバーワンはこの俺ね?あははは♪」
「は……ははは…」
乾いた笑い声が出てしまった。
「小谷。お前いい加減にしろ。奏ちゃん?相手にしなくていいからね?」
「なんだと?毎日バーさんばっか相手してるから、俺は今乾ききってるの、だから潤いも必要なんだよ」
「ご年配の方々に失礼だろ?」
「いーんだよ。俺だってバーさん達に潤いを与えてやってんだから、俺がニコッと笑っただけであの人ら頬染めて喜んでんだから」
「お前……、サイテーだな」
「いや、俺は自分に正直なだけなんだ」
「ぷっ…ふふふっ」
二人のやり取りが可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「あっ、奏ちゃん。今笑ったでしょ?」
「すみません…お二人のやり取りが可笑しくて、つい…」
「いーのいーの、笑っても。俺らこの病院の研修医ーズって呼ばれてるから。ネタとかもやってるんだぜ?な?岡崎♪」
「ばっ、誰のせいでそんな屈辱的なあだ名つけられたと思ってるんだ?それにネタなんかやってない」
「あれ?毎晩練習してるじゃん?今度のM1狙うって言ってなかった?」
「言ってない!」
「あれ?おかしーな?毎日ネタ帳書いてるんじゃなかったっけ?お前」
「書いてない!」
「お前最近俺のボケがつまらんって言ってたよな…、あれ…俺ショックだったんだ…」
「……いい加減にしろよ」
「そんな冷たい目で見るなよ…、胸が…、ときめくだろ…」
「…………(怒)」
「ああ……、怒ってる…、もっと睨んでくれ、いや、むしろ、怒りに任せて俺をその足で踏みつけてくれ…」
もう……
…………限界。
「あはははははっ……いっ!」
ズキンと脇腹に痛みが走った。
「いっ、いたたた…」
「大丈夫?奏ちゃんっ」
痛む脇腹を抱えていると、小谷先生が私の横にしゃがみこんできた。
「だっ、大丈夫…です、笑うと脇腹が…」
「ちょっとごめんね?見るよ……あ…、肋骨?」
「……はい」
「どけ、小谷…お前は悪ふざけが過ぎるよ…」
「………ごめんね?奏ちゃん」
「患者がどんな症状かなんて、見ただけでわかんないだろ?お前はそう言う所が迂闊なんだよ、だから、内科に回されたんだ」
「……………」
うつ向き何も言えなくなってしまった小谷先生。
「あの…、私…もう大丈夫ですから…」
「奏ちゃん…、僕もまんまとこいつにのせられるのが悪いんだ…ごめんね?痛い思いさせしまって」
「いえ、面白いから笑っただけです。病院に入院しててこんなに笑えるなんて、凄く良い事だと思います。痛くてもお釣りが来ちゃいますよ」
私は笑顔でそう言った。