秘密
「ちょっと、いい?」
賑やかに談笑する三人の間に俺は割り込んだ。
「何だ?茜?」
父さんがそう言って、三人の視線が俺に注がれた。
これでやっと話が出来る。
「あのさ、俺…、アメリカへは行かないから…」
「は?何言ってる?茜…」
驚きそう言う先生に、俺はさらに続けた。
「俺、始めらからアメリカへは行かないって言ってたよね?先生にも父さんにも、なのに、何で俺の知らない所で話が進んでるの?」
三人は一同に顔を見合わせ、また俺に向き直った。
「だって、茜…、静に言ったんでしょ?アメリカに行きたいって」
「アメリカへ行きたいとは言ってないよ」
バスケがしたいとは言ったけど……
「奏さんもお前のアメリカ行きに納得してくれてるのに、何でお前がそんな事言うんだ?」
奏が……?
………納得してる?
「……どういう事?先生…」
「奏さんはお前がアメリカに行く事を説得してくれるって…、だから俺はお前が行く決心をしてくれたんだと思って、向こう側にも話をしたんだけどな…」
「奏ちゃん、お母さんにも言ってくれたわよ、茜はアメリカへ行ってもきっと成功するって」
「二人で話し合って決めたんじゃないのか?茜」
………説得?
成功する?
話し合う……?
そんな話……
奏とした事なんかない…
どう言う事なんだ?奏……
ヨースケが言ってたように、奏は俺をホントにアメリカへ行かせたがってたのか?
それがどう言う事かわかって言ったのか?奏……
「茜……、もう話は進めてるんだ。向こうだってお前を受け入れる準備もしているだろうし、父さんだってお前の為らなどんな事だってしてやりたい、静だってそうだ。もう一度、奏さんときちんと話をしてみなさい」
「そうよ?茜。大事な話なんだから。あなたがそんなうやむやな考えだったら、奏ちゃんだって不安になるでしょ?」
「……まぁ。取り合えず向こうのパンフ見てみろよ。コレ見たら絶対お前行く気になるから」
………奏は…
俺が居なくなってもいいのか……?
ぐるぐるその事ばかりが頭の中を駆け巡り。
広げられたパンフをただぼんやりと見つめていた。