秘密
……今日。
ヨースケとバスケをやって。
アスファルトのコートからボールが弾かれる音に、心が踊るのを感じたのは否定出来ない。
でも、それこれとは別だ。
NBAなんて……
「奏ちゃんの事は心配すんな、悪い虫が付かないように、俺がしっかりと見張っててやるよ、まぁ、そんな事しなくても、奏ちゃんなら大丈夫。お前の事、凄く大切に思ってる」
何も知らない兄貴に俺は、母さんと同様、何も言う事が出来ない。
母さんや兄貴にしてみたら、当然俺はアメリカに行って当たり前なんだろうけど、複雑な俺と奏の関係を説明する事は出来ない。
………奏が…
もし本当に俺の恋人だったとしたら、俺は……
アメリカに行く事を躊躇ったりしただろうか?
……何考えてるんだ…、俺…
考えても仕方の無いことなのに、もしそれが現実だったら、って思ってる。
アメリカに行きたいって気持ちが……、認めたくはないけど…
確かにあるのは間違いなさそうで……
だからって奏と離れるのは嫌だ。
何年も奏と離れて暮らすなんて、考えだけでも胸が苦しくなる。
諦めた筈なのに……
諦めきれない自分が居る…
俺は何でこんなにもバスケが好きなんだろう。
同じ位に奏の事も好きなんだ。
バスケと奏。
バスケを取れば奏と居られなくなる。
奏を取ればバスケは諦めないといけない。
俺はその次の日も、結局ハッキリと否定する事も出来ず、答えを出せないまま、実家を後にした。