神様、恋をください。

「杏樹、人が変わったみたいだね。」

皆、私のことを心配した。

食欲ないし、熱ばかり。

咳もでるし___。

1日中ベッドの上。


今日も雨。

まだ梅雨に入ってから、

一回も晴れていない。

「杏ちゃんさ・・・」

廊下の方から華恋の声がする。

「うん・・・うん・・。」

菖の声もする。

気になったから盗み聞きした。

「お兄ちゃん、最近家に帰ってないらしいの。」

「慶仁君が??」

「うん。お母さんが言ってた。杏ちゃんには秘密だよ。」

2人とも深刻そうに、

私に聞こえないように、小声で

私の心を振るわせる話を。

2人は病室に戻ってきた。

「杏ちゃん、早く元気になってね。」

華恋がさっきまでの表情とは違う

笑顔で言った。

その笑顔が私の心を何度も

揺るがせた。


~夜~


私は思いついてしまった。

慶仁に会う方法を__

それはいたって簡単な事。

でも、熱がある私には

命をすてるくらい大変な事だった。


『菖、華恋ごめんね...。』


寝てる2人に囁いた。


私は、病院を抜け出した。
< 20 / 71 >

この作品をシェア

pagetop