貴方の恋人になりたいです
「なんや朔、そないオシャレしてどこ行くん?」
にこにこと胡散臭い笑顔を浮かべて彼は話しかけてきた。
「アナタこそ、どんなご用?」
あぁ、また可愛くない言い方しちゃった……。
アナタに会うためだと、どうして言えないんだろう……。
「今日は剣道の稽古つけてもらいに来たんや」
「そう、なんだ…」
「朔は?」
私は………
「さっきまで、摩美が来てて、それで……」
咄嗟に上手い言い訳がつけなくて、しどろもどろになってしまった。
「ふーん……、てっきりボクに会いに行くつもりなんかと思ってんけど」
ニヤリと彼は笑った。
な、なんでわかったの!?
「あれ、図星やった?」
意外そうな顔をした彼が腰を折り、私と目線を合わせてきた。
「さ~く~?」
「ち、違うっ!勘違いしないでっ!」
見透かされた心をごまかすように大きい声で叫び、自分の部屋に走って逆戻りした。