貴方の恋人になりたいです
「うそつきな人」
負けじと、とっさにそう言った。
「そんな悪い奴にこんなもんもろたん?朔もやるなぁ」
くつくつと彼は意地悪く笑った。
その悪い奴って、アナタのことなんだけど……。
「気にいっとるん?」
ネックレスを指先で弄びながら彼は言った。
「うん…」
小さく呟いた。
「大切にしぃや」
ポンと頭に手を置いて、彼は背を向け部屋を出ようとした。
「朔………?」
気づけば、思わず彼の服を引っ張っていた。
彼に名前を呼ばれるまで、自分がなにをしているのか気づかなかった。
「どうしたん?」
彼は不思議そうに首を傾げた。
「あ、あの…………」
まだプレゼントのお礼が言えてないのに
ありがとうって一言言いたいのに
声が出なくて、口がパクパクと動くだけだった。
そんな私の様子を見て彼は、いつもの胡散臭い笑顔じゃなくて、柔らかい笑みを浮かべ、私の頬を撫でた。
「ゆっくりでええから、言って?」
手の甲で顎からこめかみまでを何往復も撫でながら、彼は私の言葉を待った。