貴方の恋人になりたいです



「あり、がと……」



やっとの思いでその言葉を言うことができた。



でも私が俯いていて彼の表情はわからない。



「朔」



名前を呼ばれ、ゆっくり彼と目を合わせた。



彼は今まで見たことのない、満面の笑みを浮かべていた。



「よく言えました」



ひんやりした、大きな手で前髪をかきあげられ、露わになったおデコに口づけられた。



顔にカーッと血が上っていくのがわかる。



きっと今の私、真っ赤なんだろうな……。



「お稽古行かなくていいの?」



恥ずかしいのと、照れ臭いのでまたぶっきらぼうな言い方になってしまった。



「せやな、そろそろ行かなあかんやろなぁ…」



彼はわざとらしくはぁ…とため息をついた。



そして先週つけられた、消えかかっている痕を親指でスッとなぞった。



「消えかかってもうてしもたなぁ…。せっかくのプレゼント」



先程とは裏腹にニヤリと意地悪な笑みを浮かべた彼は、そこに顔を寄せてきた。





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