貴方の恋人になりたいです



「もうっ!早くお稽古行って!!」



彼の胸を力いっぱい思いっ切り押した。



はいはい、と手の平をひらひらと振ってくつくつと笑いながら彼は部屋を出ていった。



「なんなのよ、もうっ!!」



鏡で確認すると、同じところにこの間よりくっきりと朱い痕がついていた。



「ほんっと、意地悪っ!あんな奴大っ嫌い!!!!」



着ているワンピースからはその痕が見えてしまう。



着物に着替えようかな。



あぁ、でもストレス発散に袴に着替えて弓道場にでも行こ…。



髪を高い位置でひとつに結び、少し離れた弓道場へ向かった。



ぱ―――――んっ!!



矢が的に当たる、独特の音がした。



誰かいる。



誰だろ…………





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