貴方の恋人になりたいです
「三本勝負な。真ん中により近いほうか勝ち」
「負けないから」
胸当てをつけ、自分の弓を取り的の前に立った。
集中しろ……。
的の真ん中、あの赤い円を狙うんだ。
弓を構え、矢を弦に引っ掛けキリキリといっぱいまで引く。
びぃぃ――――んっっ!!
弦から手を離し、矢は空を切って的の真ん中目掛けて真っすぐ飛んでいった。
ぱ――――――んっ!!
という音が弓道場に響いた。
矢は赤い円の中に刺さったものの、真ん中を反れてしまった。
「相変わらずええ腕しとるな」
「ありがとう。次は那智にぃの番だよ?」
「うっしゃ、俺だって負けへんで」
私が射った的の隣に立ち、私のより大きめの弓を構え、矢を射った。
いつも、的に集中している那智にぃの横顔は凛々しくて、思わず見惚れてしまう。
那智にぃの射った矢は、私の矢よりも真ん中に近いところに刺さった。