貴方の恋人になりたいです
勝負は白熱し、那智にぃの最後の矢は的の端に刺さり、私が勝つことが出来た。
「やったぁ!勝った!!」
「あぁ~あ、負けてもうた」
那智にぃはがっくりと肩を落とした。
「なに奢ってくれるの?」
嬉々として那智にぃに笑顔を向ける。
「せやな…、朔良はなに食いたいん?」
「んとね、じゃあアイス♪」
「そんなんでええん?ほんま朔良は欲がないなぁ」
呆れたような苦笑をし、私の頭をポンッと撫でた。
「ほなら着替えてきぃ。俺も着替えてくるさかい、あとで会おう」
そう言ってひらひらと手を振り、那智にぃは男性用の更衣室に行った。
私も女性用の更衣室で洋服に着替え、那智にぃの待つところへ向かった。
「お待たせ」
ドアに背を預けた那智にぃのもとへ小走りで近づいた。
ジーパンにレザージャケットと、ラフな格好なのに、大人の気品が漂っている。
「待ちくたびれてもうたわ」
私の姿を確認すると、そう言って、はぁとため息をついた。
「ごめんね?」
急いだつもりだったが、そんなに待たせてしまったとは思わなかった。
「嘘やて。全く待ってへんもん」
くつくつと可笑しそうに那智にぃは笑ってる。