戀愛物語
「いや…えっと…な、なんとなく…」

「お前、昨日俺が何をしたのかわかってるのか?」

呆れたように眉をひそめられ、えっと声を上げてしまう。
それに驚いたのは、巡は目を丸くした。
互いに驚き合うという奇妙な図が出来上がる。

「断り無く、お前にキスしたんだぞ」

態度が大きく威圧的に聞こえるが、被害者はみことの方である。全くもって理不尽なことを言われているのに、今の雅は巡への言葉を探しているだけで精一杯だった。

「そ…それは……確かに驚いたけど…気にもしてるけど…その」

なんと言って良いものか。
嫌じゃなかったと言ったなら、どう思われる?
変な女と感じられないだろうか。そう考えると、酷く焦っている自分がいた。

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