千変万化の剣
「逆に、俺がここでこの国を救っても。

未来になったらこの国が世界を支配し崩壊させるかもしれない。」


「それは可能性で…」


「つまり、あり得ないとは言えない、だろ?」

「…。」


「だから、俺は今やってることが正しいとか、正しくないとかは関係ないんだ。」

「…戦う理由は何ですか?」


「約束だから。」

「約束?」


「俺が正しいかはわからない。

でも、俺が何をしたいのかは解る。

イヨも自分のしたいことは何か、解るだろ?」

「…はい。」

「だから俺は王女とも、お前とも約束した。」

「約束?」

「俺はさっき、お前の尻尾を触りたいと思った。

だから、俺は明日の作戦を成功させなきゃならない。

自分のしたいことをするために。」


「したいことをするためにって、それで人を殺すことができるんですか?

自分のためだけに…」

「人間はそんなモンだ。

何かをするために人を殺す。

昔からあるだろ?


この国も。

他の国と、人間と亜人種が仲良くできる世界を作りたいから戦争で戦い、人を殺し、願いを実現するんだろ?」


「…。」

「そもそも、人を殺すって言う異常な状況に置かれた奴に

正常な常識を求めるな。」
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