千変万化の剣
一人と孤独
翌日


兵士と王女達がミンへ出発する時がきた。


「幸大、決して死ぬな。

御主が死んだら妾は許さん。」

王女が言う。

「ああ。」

「あの、風邪とかひかないでくださいね?

あ、無理もダメですよ?」

イヨが言う。

「わかったって。」


「幸大、ミンなどすぐに退け、援軍として馳せ参じるまで負けるなよ?」

ネネが言う。


「援軍が来る前に勝つさ。」


「幸大さん、相手はどんな手も平気で使います。

何を仕掛けてくるやら…」

クノイチが言う。

「悪知恵なら俺もそこそこの腕だ。」




ベンケイが近寄る。

「しっかし、意外だな。」

「何がだ?」

「いや、今回の作戦、あの4人なら絶対に反対すると思ったんだが、

そうか

の一言で皆が納得しちまってよ。

俺だって多少は抵抗しようと思ったんだが、皆が納得しちまったら文句なんか言えねぇよな。」



「遠回しに文句言ってるじゃねぇか。」


「へっ!

負けたら骨は拾ってやるよ。」


ベンケイが拳を出す。


「そうか。

なら、お前が負けたら、お前の骨は犬にプレゼントしてやるさ。」


コンッ、


互いに拳を付き合わせた。



王女が高く剣を掲げた、そして、


「全軍、出陣!」


兵士は王女を先頭に動き出し、やがて見えなくなった。
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