【B】君の魔法




「えぇ。
 
 そう言うことなら、
 勿論喜んで。

 ただ……ドレスはどうしよう?
 一度、家に帰らないと……」

「それは気にしなくていい。
 先日の有村先生に
 事前にオーダーしておいた。
 君なら、
 一緒に参加してくれるだろうと
 思って。
 
 どうせなら……
 誰もが羨む
 君でいてほしいからね」




そう……
  誰もが……。





部屋をノックする音が聞こえて



「武流さま。
 有村より、メイクアップアーティストの
 新村(にいむら)さまと、立瀬(たつせ)さまが
 お越しでございます」




その声に、思わず
俺を見つめる尊子。



「通していいかな?」

「えぇ」


彼女の言葉を受けて、
「入れ」っと小さく伝える。



手配したドレスやアクセサリーなどが
入っている箱や、
メイクボックスを手にした
上質のブラックスーツを着付けた
二人の女性が、
中野に促されるままに
姿を見せる。
< 146 / 339 >

この作品をシェア

pagetop