【B】君の魔法
「有村より参りました。
新村でございます」
「立瀬でございます」
二人の女性は
丁寧に、
挨拶を済ませる。
「出雲さま、
ドレスは
こちらで宜しいでしょうか?」
イブニングドレスなので、
背中が少し広めに開いた
ゴールドベースのシルク。
その上から、
ゴールドの派手さを控えめにするように
あしらわれた、黒のオーガンジー。
Aラインのシンプルなドレス。
シンプルな中に、
ワンポイント、ワンポイントに
上品なあしらいが際立つ。
「まぁ、武流さん……」
彼女は嬉しそうに
ドレスを見て微笑む。
「尊子も気に入ってくれたみたいだ。
有村氏に、
良くお礼を言っておいてくれ。
尊子を頼む」
俺自身の準備の為に
退室する。