【B】君の魔法



「だけど……雪路さん、
 兄を一方的にふったでしょ。

 兄がプロポーズしようとした
 その日に……」


思わぬ言葉に
私も我を忘れて言い返す。


「だって、それは祐太が
 知らない人と歩いてたから。
 肩を並べて歩いてたの
 見たんだもの。
 
 そんなの裏切り以外の 
 何者でもないじゃない?」


反撃した私に、
彼女はクスリと笑って向き直った。


「雪路さんが
 誤解した相手は私。
 兄に頼まれて、
 兄が貴女にプロポーズ用に渡す指輪を
 買いに行くのに付き合わされてただけ」



あの時……
私が見たのは誤解だったっていうの?
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