【B】君の魔法



慌てて、
私を支えてくれた華南。



「大丈夫?
 尊子?」

「えぇ。
 ごめんなさい。

 少し立ちくらみがしただけよ」





何時までたっても
こんな時の
癖はなおらない。





「もう、帰るでしょ。
 尊子の残りの仕事は
 私がしておくから、
 兄貴と帰りなよ。
 
 今、兄貴召喚するから」



言葉の後、
すぐに携帯を取り出して
連絡をつける。



支えられるように
デスクを離れて、
クリスタルエレベーターに
支えられて乗り込むと
一階のエントランスに
付く頃には、
祐太がすでに待機してくれてた。




「兄貴、後任せたよ」




すっぽりと、
華南によって
祐太の腕の中に
預けられた私。





朝のように、
祐太は何のためらいもなく、
私をヒョイっと抱き上げると
地下駐車場へと連れて行く。





助手席に乗せられて
シートに
身を沈めると……
涙が零れ落ちた。





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