王子様の溺愛カメラマン
先輩の細く長い指がピアノに触れた。




ポロン…


静かな湖面に波紋を作るように、グランドピアノから音が鳴る。


薄いガラスを扱うように丁寧に繊細に



そしてしっとりとしたメロディーは徐々に弾みだし


白と黒の鍵盤は魔法にかけられたように踊り出した。



妖精がキラキラと舞うように、美しいメロディーにホール全体が魅せられていく。





私もいつの間にか呼吸をするのも忘れて演奏する先輩に魅せられていた。



冬島先輩、スゴい…



瞳を閉じた先輩はまるで指先と感性だけでピアノを奏でているようで。


その姿は迫力があり、綺麗だった。





これが本当の先輩の姿…





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