王子様の溺愛カメラマン
そう言われても…


俺はあの冬島とエマの綺麗なダンスを思い出した。




「エマごめん……俺、ダンスとかしたことねーんだ」



そう言う俺にエマは立ち上がるとそっと俺と両手を重ねた。


「平気だよ。こうやって手を合わせてね…?」



そのまま体をぴったり密着させて一緒にゆっくりステップを踏む。






「今日は日向くんの為に可愛くしてもらったんだ…」


「エマ……」




黄金色の光が漏れている舞踏会のホールから聴こえてくる音楽に合わせて

俺たちはゆっくりと踊る。



薔薇園の優雅な香り、
スポットライトは満天の星空。


目の前には愛しい俺のエマ。



「大好きだよ…」


「うん。俺も――…」





奇跡のような甘い夜はこうして過ぎていった。




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