王子様の溺愛カメラマン
翌日


俺は休み時間の教室でさわぐ友達たちをぼんやり眺めていた。



人物かぁ。

確かに挑戦はしてみたいけど、モデルどうすんだ?


撮るからには撮りたい意欲が湧く相手じゃないと。




「どうした日向、元気ねーじゃん?」


親友の亮太が俺の席にやってきた。


金髪ツンツン頭の亮太はバカだけど深い話も結構できる。


こいつをモデル…ってもなー。


亮太は好きだけど撮りたいかって言われたら微妙すぎる。


「ん~ちょっとな―」


「日向の悩みったらまた写真のこと?」


「そ。人物撮りたいんだけど撮りたい気持ちがいまいち湧ききらなくて」


中途半端な気持ちで妥協だけはしたくねー。


頬杖をつく俺に亮太は教室を見渡した。


「なら真由美とかどーよ?」


「ん~?真由美?」


俺は教室の真ん中で女子と話してる真由美を見た。


腰まであるストレートの黒髪が目をひく真由美はクラスの中でもかなり美人な奴。


ちょっとキツめの目元とかがエロくて男子に人気がある。


「真由美にヌード頼んでみたら撮る気でるんじゃね?」


「はは、出ねーわ」


にやつく亮太に俺は突っ込んだ。


真由美のヌードは高校男子として個人的に興味があるけど。


写真で撮りたいかったら全然別。


欲しいのはもっと純粋に、被写体として突き動かされるような衝動が湧く奴。



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