王子様の溺愛カメラマン
ありがたいような、面倒くさいことをしてくれたような。



とにもかくにも


とりあえず腹ごしらえをして風呂に入って、日課のカメラのメンテナンスをして。



そうこうする内に気付けば夜の11時になっていた。


やべ…電話すんの遅くなった。


俺はさっきのメモを取り出すとエマとやらに電話をすることにした。



『はい…?』


携帯の向こうから控えめな声がした。


ちょっと緊張してるっぽい。


「あ―…久しぶり。日向ですけど…」


『あ、日向くん?久しぶり』


「うん」




そして、ちょっと沈黙。


久しぶりっていうか、気持ち的にはほぼ知らない女だから、距離感がわからない。



「あ―…うちの親がなんか勝手にゴメンね?」


俺は頭をポリポリかいた。


『う、ううん!大丈夫だよ~。モデルなんて頼まれたの初めてで、オバサンの勢いもびっくりしちゃったけど、へへ…』


「あはは、だよな~?」


笑うエマの声はほんわかしていた。


俺も苦笑いしかない。


あのパワフルオカンは本当に、年頃の男女に対してなんていきなりな爆弾をしかけてくれたんだ。



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