王子様の溺愛カメラマン
「やっとエマに会えたぜ~!」


「あはは///日向くんが沖縄の人に見えちゃった…!」


照れ隠しの私の言葉に日向くんは大きく笑った。


「地中海にもいたからな~真っ黒クロスケだろ、俺?」


日向くんは眩しい笑顔を見せると私の手を取った。



「会いたかったよ、エマ」


「…!」



ひ…日向くん…



「もう船が来るから。そしたら10分くらいで着くからな」


日向くんは私のスーツケースをひょいとつかむとガラガラと船舶乗り場に運んでくれた。



あ……


日向くんが背中を向けたせいで

私が日向くんに向けて伸ばしかけた腕が寂しく宙を泳いだ。





ガ~~ン…


感動的な再会を予期していただけに、予想外にあっさりした日向くんの態度に少し面食らう。





「おいエマ!船来たぞ~!」


そんな乙女心に気付かない
バカ日向はのんきに私を呼んでいる。




「い…今行きますよ~!」


私も仕方なくその背中をパタパタと追った。




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