王子様の溺愛カメラマン
「すいませ―ん。自転車借りたいんすけど」


フロントに着くと日向くんは自転車を手配してくれていた。


無料レンタルしている自転車を2台借りると、私と日向くんは民宿を出た。


のれんをくぐると、たちまち白い日射しに目をあけられなくなる。




「わ…眩し~い!」



時刻はもう15時なのに。

ピークの時間帯を過ぎても日射しはまだ燃えるように強い。


「エマもすぐに真っ黒クロスケの仲間入りだな、こりゃ」


日向くんはサドルにまたがりながらニヤリと笑った。


「それはイヤだなぁ…せめてコゲパンが良い」


「あははは。一緒じゃねーかよ、それ」



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