仮病に口止め料

彼女たちはスカートから飛び出した足の細さ(『痩せすぎはダメ、バランスだよね』と身内ノリのガールズトークでは言う癖に嘘つきだから)、

ウエストの薄さでカワイイの価値を定めていることを俺は知っていた。


そんな思春期女子たちが肩から大袈裟に手を振るなら、

お腹の前で両手を合わせ腰から深くお辞儀をし、「ごきげんよー」と、

やや滑る返答をするのがティーンエイジャーのマナーである。


頭がランドセル構造の俺はそういう寒い雰囲気が大好きだから、もちろん学生らしく挨拶をした。


だから今日はよく晴れている。
そう、さっきの雨についての雑談に何の意味もない。

近藤洋平をしている俺はただチャーミングな暇人で、いちいちくどく物事を掘り下げる趣味なだけだ。

どのくらい煩わしいキャラクターかを説明するなら、まだ先の話になるのだけれど例えばキスとか。

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