仮病に口止め料

教科書で見た中国の道路が自転車ずくめの光景みたいな朝は、

(遊びたい金欲しさとは微妙にニュアンスが違う遊ぶための服欲しさ目的で)アルバイトに明け暮れる学生にとって、非常に眠い。


待ち人はまだかなと思い左手を軽く持ち上げた俺は、

入学祝いに貰った老人セレクトだからよく分からないメーカー(あえてブランドとは呼ばない)の腕時計を見る。

時刻は八にある短針と長針が一直線の頃(つまり八時十分を面倒臭く言っただけ)で、

もう少ししたら可愛いと評判のあの子が来るから、

恋心がおさまっているであろう左胸が喧しくなってきた。


やっぱり十代、男子と女子は大人みたいに(金や地位や親の職業とか)計算しあうより、直球で勝負をしたがる。

ほら、流行り歌はストレートな表現が共感を生み支持される仕組みと似ているはずだ。

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