たとえばセカイが沈むとき
その為にも、納得しうる説明が必要だ。本当に過去へ戻る事が出来、チサトに再び会えると実感出来るものが。男へイエスと言える材料を。
「お願いします」
頷いた僕から、己の背後にある物体へと視線を移す。僕にもう少し近寄るよう指示すると、もったいぶることなく男は語り出した。
「これはタイムマシンです。私がつくりました」
「タイムマシン……」
薄々そうかなと思ってはいたが、改めて言われると更に現実離れして感じる。
自動化が進み、便利さが増えた時代だが、時代を行き来する技術はまだ小説の中の話、夢物語だった。もしこれが本当にタイムマシンなのであれば、男は最初の発明者という事になる。
そんな技術が開発されていれば、ニュースになって然るべきと思うが、聞いた事がない。偶々目にしなかっただけかもしれないが。