ズルイヒト
 ――会いたくなかった。

 許されていないと分かった今、これからどんな仕打ちを受けなければいけないと思うと背筋が凍る。

 ――会いたかった。

 許していないなら、どうぞ、貴方の手で罰を与えて下さい。今度は逃げないから、どうか私の罪の意識を貴方が和らげて。やっぱり久央じゃないと、駄目みたいだから。


 複雑な思いを抱えても一つだけ彼にはっきり伝えることが出来るのがある。


 そんなこと物騒なことをしなくても久央と出会った私はもう逃げないと。


 そして私と彼は手を握り合い、周りの恋人達に紛れ、この幻想世界から姿を消した。


 逃げていた私を待っているのは、凍りついた現実――。
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