forget-me-not
―――超常現象サークル
なんとも異質なこのサークルは、勿論、非公式。
所属メンバーは私と新戸くん(新戸 葉 アラト ヨウ)の二人だけ。
『――例の本って、あの、まさか…』
「そうですそうです。日本には10冊しかないっていう幻のアレです」
新戸くんは意気揚々と室内に置かれた大テーブルの埃を払って、分厚い本を恭しく置いた。
「…コレ、です」
(…わ)
思わず、生唾を飲む。
訳あって超常現象に目がない私にとってこの本は…
至極、貴重で。
(このためになら、寿命5年はあげてもいいや)
微妙、である。
『ど、どうやって手に入れたの…?』
「俺が先輩のために一肌脱いだら、こんなもんですよっ」
『、』
「、」
『…すみません。実は叔父に頼んだんです』
あ、得意気だった笑顔が、しゅん、と縮んだ。
(…可愛い)
彼をからかうことが今、一番お気に入りの遊び。