もう会えない君。


夏場に降る雨は嫌いだ。
じめじめとした湿気と生温い風が気持ち悪い。


私は部屋に入るなり、エアコンのスイッチを入れた。
ずぶ濡れのまま入って来た所為でフローリングの床には滴が零れ落ちていた。


フローリングの床を乾拭きする前にお風呂に入ろうと着ていた服を洗濯機の中にぶち込んだ。


苛立ちが募る一方で“それ”は起きようとしていた。
“それ”は私がお風呂から上がって数分経った頃に起きた。


~~~♪


着信を奏でるメロディ。
この音楽は名前を見なくても分かる。


私は通話ボタンを押した。


「もしもし、隼?どうしたの?」

『凛っ!?お前、今何処居んの!?』

「え?家に居るけど…?」

『ちょ、えっ!?家って約束は!?』

「だって…――――」
――待ってても由香里さん、来なかったから。
そう言おうとした言葉は見事に遮られた。


『由香里がずぶ濡れで来たんだぞ!?』
そして隼は私に奇怪な事を言い出した。


…ずぶ濡れ?
なんで由香里さんがずぶ濡れになる必要があるの?
だって、ずぶ濡れになったのは私の方なのに…なんで…?
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