もう会えない君。


花火が打ち上げられるまで残り3分。


「もうすぐだね」
わたあめを頬張りながら言う私に隼は「そうだな」って言って空に視線を向けた。


隼は待ってる間に林檎飴とわたあめを買って来てくれたから先にわたあめを食べた。
気が利くというのか、気遣ってくれてるのか、隼は私が黙っててもジュースを買ってきてくれたり、アメリカンドックを買って来てくれたりと…やたらに気を遣わせてしまっているようだ。


隼はアメリカンドックを食べて、私はわたあめを食べてる。
時々、二人で交換し合いっこをする。
でもそれは私が食べ飽きた時にタイミング良く、隼が交換してくれるから。


一緒に居ると今までは分からなかった事まで分かるようになるんだと思った。


「食べ飽きた?」
わたあめを半分くらいまで食べ終えるとさすがに甘過ぎて口の中がベトついた。
だから私は小さく頷くと隼は私に先程、買って来たであろう烏龍茶を差し出す。


烏龍茶を選んだ理由は甘いのとこってり系しか屋台に売っていないからどちらにも対応出来る飲み物の方がいいと思った隼の気遣いからなんだと思う。


一口含んだだけで甘さが引いて、ベトつきがなくなった。


だから残りのわたあめを食べきる事が出来たのだろう。
烏龍茶ではなく、オレンジジュースやラムネだったら甘さが増していただろう。


しっかりしてる…。
心の中で関心するばかりの私は小さく数回頷いた。
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