もう会えない君。
「ちょっと待ってろ」
悠はそう言い残して玄関の方へと歩いて行った。
リビングには私と皐だけが残されて、悠はそのまま部屋を出てった。
でも足音が聞こえないから部屋の前に居るんだと思う。
無言のままのリビングは静寂仕切っていた。
口を閉ざしたままの皐と未だに泣き続けてる私。
…静寂仕切ってるというよりは言葉が出ないに等しい。
だけど、この沈黙を破ったのは皐の方だった。
「凛ちゃん…」
顔を上げて皐に視線を向けると皐は悲しげな表情をしていた。
今にも泣きそうなくらい悲しげな…。
切なそうな瞳で私を捉えていた。
「隼もね、凛ちゃんに会いたいって思ってるよ」
「…え?」
「凄く心配してた。あいつ、帰って来れねぇけど連絡は取り合ってるんだ」
「………」
「凛ちゃんが部屋から出て来ないって言ったら隼、なんて言ったと思う?」
「…なんて言ったの?」
「俺の所為だ、って言ってたんだ」
「………」
「本当は会いに行きたい、って」
「………」
「でも不安にさせたのは俺なんだ、って自分を責めてた」
「………ッ」
「凛ちゃんを想ってるから会いに来たくても会いに来れなかったんだ」