秘密のMelo♪y④*ウィーン編㊦*

そうよ…そうだわ。

あれはそう、日本に行くと最初に決めたとき…。



『なに、日本へとな?』


『うん。だってお母さんの実家、日本にあるんでしょ?』


『ふむ…。だがお前が日本になぞゆけば、母さんどころではなくなるぞ』


『大丈夫だよ。最近お仕事してないから、分かんないって』


『しかし学生なのだから学校に行かねばならんだろう』


『それがなに?』


『だからそうだな……ちょちょいと名前をつついてみよう。決して“藤峰真裕”の名を出してはいかんぞ。むっふっふ…楽しそお』



…って!!

父様がそう言ったのよ! そうだったわ!

しかも確か、楽しそうとか言ってた気がする。

あんの親父…!


「ほら! いつもいつも、元凶は絶対父様! なんであの人あんなめんどくさいの?」


「そう改めて言ってやらないの。仮にもお父さんでしょ」


だあってぇ。

父様の暴走でよかったことといえば……いえば……。

うーん……婚約…は必要なかった気がするし…。

結婚……も勝手にされたわけだし…。

ええっと待って待って? 子供の頃にもあったでしょなにか。

……。


「いや、よく考えたら暴走なんだからいいことなんかあるわけなくね?」


“なくね?”出たよ。

出るほどだったよ。


「言っとくが、お前も相当暴走癖あるぞ」


「なにを仰る!!」


あたしが…このあたしが、あんっなめんどくさいわけないでしょ!? ……ない……よね…?


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