Strawberry & Happy Birthday
物心ついた時から俺の世話も家事も全部親父がやっていて。
そこに〝母親〟の姿はなかった。
けどたまに家にやってきて金だけ持っていく女が一人いた。
それが自分の実の母親だと知ったのは俺が6歳のときだった。
初めてあの人を「お母さん」と呼んだとき、あの人は腫れ物を見るかのような瞳で俺のことを睨んだ。
今でもはっきり覚えてる。
あの瞳は。
それから程なくして両親は離婚した。
それ以来ずっと疑問に思ってた。
どうしてお袋は俺を生んだのかって。
仕事と家事と子育てに追われて日に日に小さくなっていく親父を見ていたら思わずにはいられなかった。
俺なんか生まなければよかったんじゃないかって。
俺は耐え切れなくなって、ある時、親父に聞いた。
「何で俺を生んだのか」って。