何千年の夏休み
…ピチャン、ピチャン
茎を伝った雫が地面に垂れた。
「……」
暑い太陽の日差しが窓から漏れる。
蒸し暑い病室へ戻って来ると洗面台で花瓶に移した花を窓辺へと置いた。
木製で出来た病院の片隅にある小さな個室には、夏風に揺れる薄黄色のカーテン。靡くカーテンに薄らと揺れる影は私が置いた花。
個室の窓辺には一つのベッド。
そのベッドに寝ている患者。
「…あれから八年も経ってるのに。」
静かな病室に誰に言うでもなく独り呟く。
返事が出来るならしてほしい。
だけどそれが独り言になるたびに胸が痛む。