何千年の夏休み
後から兄に聞いた私は生きる気力を失くした。私より重症な彼を放って私は病院を退院し、兄の頼みで承諾を得た親戚の所へ引き取られる事になった。母親はどこか遠くへ逃げたらしい。
それからこの村を後にし都会生活に……。
「………」
ミ──────ン
ミ──────ン
セミの鳴き声で再び私は我に返った。
カーテンを強く握りしめる。
此処へ来るたび9歳の時の日を思い出す。
本当は来たくない、だけど彼を放って置くわけにはいかないんだ。
一度目を瞑って眠ったままの彼を見ると、再び視線を窓へ移しカーテンを大きく開いた。眩しい太陽の陽が部屋へ降り注ぐ。一瞬にして部屋はとても明るくなった。