ナルシー少年☆蛍斗くん


「私、きぃちゃんがいい。」

「えー?」


マジかよ、と言いながらも金魚掬いの体勢になる蛍斗。

「きぃちゃんは難しいよ?」

"ヨーヨー邪魔(ジャマ)だし"と兄ちゃん。


だが蛍斗は兄ちゃんを無視して金魚掬いを始めた。



それから数分経つ。

なんてことだろう。

きぃちゃんの速さは尋常(ジンジョウ)じゃない。

ヨーヨーを全部取っても捕まることはなかった。




「秋夜!!片付けっぞ?」

「まだ客いんの?」

兄ちゃんは最後の店番だったらしい。

兄ちゃんの周りにぞろぞろとと出店の片付けに戻ってきた人達が集まってきた。


「あ〜ごめん。俺の知り合い。」


やっぱ帰ったほうがいいかな?

きぃちゃんはまだまだ元気で捕まりそうもない。



それに


"あの子かっこよくない?"

"秋夜に紹介してもらおっかな"

なんて声が聴こえてくる。


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