ナルシー少年☆蛍斗くん
私、桃汰くんの彼女だった・・・
と言っても一方的にそういうことにしちゃっただけだけど。
それでも効果はあったみたいだ。
落胆(ラクタン)している様子の大木さん。
兄ちゃんはその様子を苦笑いで見ていた。
「帰るぞ。」
奴は私が隣に並ぶのを待ってそう言った。
触れそうなくらい近くにいるのに、蛍斗が私の手をとることはない。
当たり前だけど、
それが当たり前なんだけど・・・
さっきまで繋いでいたんだと思うと、手が寂しく感じる。
「じゃあ帰るね?」
寂しくなった手を振り挙げて兄ちゃんにバイバイした。
蛍斗が帰ると聞いて女の人は残念そうにしていた。
結局声をかけるタイミングを逃しちゃったようだ。
兄ちゃんは私と目が合ってニッコリとした。
「矢恵、ちょっと来て?」
なんだろ?
私はまた兄ちゃんに駆け寄った。
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