ナルシー少年☆蛍斗くん


「大事に育てるんだよ?」


「え?」


兄ちゃんから差し出されたのは


「きぃちゃんッ!!」


小さな袋には元気いっぱいのきぃちゃんが泳いでいた。


「いいの?」


「最初からあげようと思ってたしね。」

それを聞いた蛍斗が口を尖(トガ)らせる。


「それなら早く言えよ。」


「兄ちゃんを無視して始めるからだろ?」

確かに。

兄ちゃんはその時からくれるつもりだったんだ。


「金魚におちょくられる蛍斗も面白かったよ。」


兄ちゃんにしては意地悪な発言。
蛍斗がふて腐れたような顔になった。


そして蛍斗に聞こえないように小声で私に言った。

「矢恵は可愛いんだから気をつけるんだよ?・・・彼氏、ろくでもないやつだったら矢恵は俺が貰うから。」


ニッコリと笑う兄ちゃん。

もう、兄ちゃんったら!!

真意は全く読めないけど、赤面してしまったのは言うまでもない。


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