ナルシー少年☆蛍斗くん


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帰り道。

夕日でオレンジ色に染った蛍斗の顔を斜め後ろからぼんやりと眺める。


兄ちゃんと別れてから口数が減り、とうとう喋らなくなってしまった。

別に怒っているわけではない。

機嫌が悪いわけでも。

ただ奴の横顔は元気がなくて、前を向いている瞳は虚(ウツ)ろげだった。


理由なんて分かりきっている。


私は自分から声をかけることができなくて、きぃちゃんを持つ手をブラブラさせながら蛍斗の影を踏(フ)みながら付いていった。


住宅街の下り道は人っ子ひとりいなくて。

朝の沈黙とは全く違う気まずさだ。


ホントは喋りたい事はたくさんある。


きぃちゃんのこれからとか、

兄ちゃんの事とか、


たくさんあるんだけど・・・


私から声をかけれるはずないんだ。


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