君が笑える明日
岡島 浩之(おかじま ひろゆき)と二宮 太一(にのみや たいち)は同じ美大に通っている。
目指すものこそ違えど、入学当初からの付き合いだ。
また、同じマンションに住んでいて、太一の住む一階の部屋の真上がヒロの部屋なので、お互いよく行き来している。
太一は、女性にモテる。
だがそれゆえに女遊びが激しく、今回のようなことはヒロが知るかぎりでも初めてではない。
女性と遊んでも特定の彼女を作らない太一の姿勢にも問題があるのかもしれない。
ヒロも少し前までは太一と同じくらい女遊びが激しかった。
それこそ太一とヒロが共に街に出て女性に声をかければ確実に女性がついてくるほどであった。
二人とも、外見はよいし、太一は口が達者なのでナンパは本当にプロ並だ。
しかし、ヒロはここ最近はそうして街に出ることもなくなっていた。
その理由はヒロは口にしないが太一にもしっかりわかっていたので、太一もヒロを誘わなくなった。
ヒロの部屋。
家具は必要最低限しか置いておらず、二つあるうち一つの部屋には画材やら何やらで埋まっていた。
二人はもうひとつの部屋で缶ビール片手に話していた。