君が笑える明日
日常でほとんど幼い子供と関わることのない自分にとって、この少女をどう扱えばいいのかわからず、自分でも気味の悪い愛想笑いを浮かべて少女を見た。
少女は何も言わずに、ただ強くTシャツを引っ張った。

「どっか来て欲しいんじゃね?」

太一の言葉にTシャツを引く力が強くなる。
ヒロは黙ってそれに従い、少女に引かれるままついて行く。太一も黙ってそれを追う。
着いたのは、ヒロの隣の部屋だった。
着くと、少女はドアを開いて二人が入るのを待つ。
二人は顔を見合わせ、やがて中に入った。

「越してきたのか」

廊下から漏れる明かりに薄く照らされた部屋を見て、ヒロが呟いた。
部屋の中に大量に積み上げられたダンボール。
奥に行くと部屋は暗く、何も見えない状態だったのでヒロは自分の部屋と同じ位置にあるはずの電気のスイッチを探す。
しかし、それを見つける前に、

「…うー…」

という呻き声がダンボールの中から聞こえて驚いた。
急いでスイッチを見つけ、明かりを点けると、部屋の中の悲惨な光景が目に入ってきた。
荷物が大量にひっくり返ったダンボール。
すると、山になった荷物の中から再び呻き声が。

「誰か埋まってんのか!?」

ヒロが言って、ヒロと太一は慌ててその山を掘り始めた。
< 7 / 12 >

この作品をシェア

pagetop