この世界は残酷なほど美しい
目的は、無いに等しい。
昔の自分を忘れたかったのか。それとも母さんの残した言葉の意味を知りたかったのか。
「流星くん!?」
遠くの方から奈緒子の声が聞こえた。
だが僕は止まることなくただ走っていた。
行き着いたのは4組。
「流星、どうしたのよ?」
教室に入ると花音が目を丸くして僕を不思議そうに見る。
そっか、花音は野中と同じクラスだったのか。
「野中くんは?」
久しぶりに走ったのだろうか、呼吸を整えるため息を大きく吸い込んだせいで少し気分が悪くなった。
「大和なら…」
そうやって花音が指差す前に僕は野中を見つけ出した。
数人の男女と後ろのロッカーあたりに仲良く喋っていた。
明るく色の抜けた髪の毛が僕を挑発しているようで。
僕は僕以外の人間には興味がない。
自分自身何者なのか分からないのに他人なんかどうでも良かった。
だけどこの時だけは自分以外の人間を意識していたのだと思う。