この世界は残酷なほど美しい
「あれ、坂井流星くんじゃないですか。わざわざどうかしたんですか?」
ふざけた口調で言ったのは当然野中しかいない。
僕は野中に歩み寄り、胸ぐらを掴んだ。
「おい、お前奈緒子に何したんだよ。」
「は?何のこと?」
「奈緒子、泣いてたんだぞ。お前が悪いことしたんだろ。お前が悪いのに何で奈緒子が泣かなくちゃいけないんだ。奈緒子に謝れよ」
更に胸ぐらを掴む手を強くすると野中は僕の手を力ずくで振りほどいた。
そして僕を睨み付けて「うるせぇな」と言葉を投げ捨てる。
そんな態度にまた怒りが込み上げた。
「お前に関係ねぇだろ。何でお前に言われなくちゃいけないわけ?」
「何も悪くない人が泣いているから腹が立つって言ってるだけだ。でも奈緒子は正解だったと思うよ。キミみたいな最低な人間とは奈緒子は不釣り合いだ。奈緒子ならもっと幸せになれるはずだ。別れて正解だよ」
はぁ…とため息を吐いて僕は教室を後にしようとした。
コイツに何を言っても無駄だと思ったから。
救いのない人間を助けるほど僕はお人好しではない。